2009/10/31

☆C

視界に入ったとしても

見ないことはいくらだってできる


見ようとしなければ

目を瞑っていることと等しい


焦点を固定してしまえば

右も左も近くも遠くも霞んでゆく

人の笑顔も泣き顔もぼやけてゆく


わたしには

この世界がほんとうに見えているのか

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★灯籠街

突然日が落ちてやってくる

秋の闇が心細かった


家々の窓から溢れる

橙色の光が温かい


暗い時には

蝋燭に火をともそう


それぞれの居場所が

闇を追い払い

行く道を照らしてくれるから

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2009/09/20

☆キバナコスモス

山肌を伝って

涼しい風が

通り過ぎていった


日射しは夏の名残

空は秋の予告


迷い 立ち止まりそうな

時のはざまで

ひび割れた大地に身を投げた


高さゼロメートルの視界には

青い空とオレンジの花畑


光を求めて

風に揺らぎながら

空へ手を伸ばしている


ただ それだけで

美しいと思えた

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2009/08/13

★迎え火

薄闇に灯が見える

米粒のように小さいが温かい


それは辺りを照らしながら

だんだん大きくなって

わたしの前で止まった


ゆらめく炎に魂を融かして

向かうのは懐かしい場所


はぐれないように

ゆっくり進んでくれる足が見える


風に揺れれば

やさしく囲ってくれる手が見える


ただいま

わたしの愛する人

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2009/07/11

☆刺激般化

はじめは

優しくしてもらうだけで

嬉しかったのに


いつの間にか

特別になることを求めてしまう

あたしはわがまま


どんな場所でもいい

何になってもいい

君に必要とされるなら

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2009/05/03

★あじさい

誰なんだろう

あたしのこころが

追いかけているのは


目の前で微笑んでくれるひとに

目を見て笑い返せないとしたら


共に歩こうと差し出された手を

握り返すことができないとしたら


誰なんだろう

あたしのこころが

求めているのは

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2009/04/12

☆桜吹雪

花びらはやさしい風に誘われて

枝から手を離し

はらりと流れてきた


風が新緑を大きく揺すれば

光にきらきらと応えて

ひらりと舞い落ちる雪になる


薄桃色のかけらたちが

わたしの心をそっと抱いて

通り抜けた


あなたのいた春を思い出す

陽の当たる縁側

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2009/03/28

★ドウダンツツジ

春が居眠りしている夜

闇と冷気に覆われた町の中

たったひとりの帰り道


無数の白い鐘が

街灯に淡く浮き立って

揺れている


わたしの行く先を照らし

羅針盤となれ

満天の星

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2009/03/01

☆沈丁花

残雪のなかに埋もれても

たしかに在るもの


暗がりのなかで見えずとも

さやかに在るもの


時は風に溶けて

途切れぬ河のように

わたしを迎えに来る


秘めても秘めても

香りはみちしるべ

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2009/01/11

★満月

蒼い空気の絨毯の上を

大切そうに手をひかれて

丸い月がやってくる


満ちた今日を

望んでおきながら

満たされない明日に

心奪われるのを待っている

わたしはいけない人間でしょうか

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