2006/12/22

★眠れぬ夜は

眠れぬ夜は

そのまま 起きてみる

わたしを ひとりにしてくれるから


どこまでも のっぺりとした

青い静けさのなかに

置いてくれる夜を

抱きしめてから

布団をかき寄せた

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2006/12/18

☆何ひとつ

この体のなかで

何かひとつしか残せないとしたら

残りはすべて捨てなければいけないとしたら

手を選び取る


手をなくしたわたしは

何ひとつ器用に描けない

何ひとつ満足に造り出せない

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2006/12/14

★自信

なんでも聞いて下さい と言えれば

なんでも答えられなくても いいの

ただ そう言える自信が欲しいだけ

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2006/11/29

☆花

こんなところにいたんだね

凍えるような雨も

灼けるような日射しも

すべてその身に受けて


こんなに近くにいたのに

君の美しさが見えていなかった

君のことを知ろうともしなかった

つまらないことに惑わされて


これから毎日会いにいくよ

真剣に生きる横顔が好きだから

そして微笑む君を見つめていたい


涙の粒を柔らかな肌にのせて

いま一輪の花が開く

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2006/11/22

★ミルクティー

お気に入りのマグに

やさしく湯をのせると

葉が開いて くるくると踊り出す

地の底から湧き上がるようで

天から舞い降りるようでもあって


君は猫舌だからと

牛乳をたっぷり入れるのが好きだったね

あたしはそんなの紅茶じゃないって怒ったけど


鼻から喉へと通り抜ける水蒸気が

体中についた重りを溶かしていく

居間から見える枝は葉を落として

広くなった窓から 晴れた空がよく見える


木の幹のような やさしい白の混じった茶色

君と同じブレンドで

あたしは紅茶を飲んでいる


この温かさは君の中にあるんじゃない

湯気の中にあるの と言いながら

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2006/11/20

☆夜更けの流星群

そういえばしし座流星群だった

レポートを放り投げて 鍵を開けた

息は白い煙になり サンダルの素足が縮む


もう夜は冬空

ダイヤモンドは見えるのに

待っても待っても

流れ落ちるのは葉っぱばかり


あとは虫の音

遠くの高速を車が走る反響音と

気まぐれな誰かの口笛


冷たいドアに触れ そっと鍵をかける

平穏な夜更けを 乱さぬように


流れ星は また明日探せばいい

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2006/11/15

★脱・しあわせインフレ

より貴重なしあわせを求めていけば

しあわせの水準は高騰し

お札にゼロをいくつ増やしても手に入らず

手にする過程の価値は暴落する


昨日よりも今日のほうが

悲しい思いをすることもあるだろう

しかしそんな日があるからこそ

しあわせは高騰せず

着実で価値あるものとなるのだ


しあわせインフレは

しあわせであることのしあわせを

忘れさせてしまうものだから

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2006/11/10

☆変化

色を失う定めの葉々は

限られた時のなかで姿を変え

鮮やかな輝きで太陽に応える


街はたちまち

紅や金の衣を艶やかに着こなす


今からでも間に合う

変わること

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2006/11/03

★秋の音楽

日が傾く頃に開演する 音楽会


憂いを帯びた 鳥のソプラノ

静かに続く 虫のコーラス


風がなくても 枝から離れ

翻りながら降りてくる 木の葉たち


ひらり ゆらり ひらり ゆらり

タクトのように 二拍子を刻み

かさり ぱさり かさり ぱさり

シンバルのように 乾いた音を鳴らし

終演に近づいていく

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2006/10/30

☆雪女

あなたが触れた睫毛も髪も みな凍った


衣に積もる綿は 水気を帯びて重たく

山間から吹き下ろす風が 体温を取り上げる

寒くて 寒くて 絶えてしまう


動かなければ固まるから 夜通し歩き続けた

雪を踏む草履の足は もう冷たさも痛さも感じない


白だけの視界で見つけた 一つの灯

血の気が失せた手をのばし 戸に触れる

開けて 開けて 中に入れて


そして温もりを 返して頂戴

あなたの命とともに

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